会社でゲーム開発をしていて、未だ片手で数えるほどしかプロジェクトに配属されていないが
上手くいかないプロジェクトには共通点がある。
マイルストーン。こいつが曖昧であったり、直前でひっくり返されたりする時。
最悪のケースだと開発中止もあり得るのだ。
そんな大切なマイルストーンについて、今回はゲーム開発の流れと共に説明していこう。
マイルストーンとは何か
マイルストーンとは端的に言えば、ゲーム開発全体の進捗状況を示すものである。
大きく分類すると、以下の4つのフェーズに分けられる。
- プロトタイプ版
- α版
- β版
- マスター版
1→4の順に開発が進んでいくのだが、β版は聞いたことがある方も居るかもしれない。
いわゆるベータテストは、マスター版の開発中にβ版を先行して遊んで貰うことで
フィードバックを取り入れるものだからだ。
これら4つのフェーズは共通して、ゲームがどれだけ完成に近づいているか?という指標ではあるが
それぞれがどの程度の開発具合なのか、おおよその決まりがある。
もちろんゲームジャンルや開発規模などによって異なることもあるため
その点については考慮せず、ざっくりと紹介していく。
プロトタイプ版
「プロトタイプ」という言葉通り、試作段階だ。
プロトタイプ版では、ゲームの基本の遊びが本当に面白いか?という検証が主な目的になる。
そのため、グラフィックやサウンドといったアセットは仮であり、とにかくショボい。
箱と箱がぶつかり合っているだけ…なんてザラだ。市販のゲームには似ても似つかない。
ターン制RPGで例えるなら、この程度だろうか…
- HP、MP、攻撃力の概念がある
- ターン制になっており、自分のターンでコマンドが選べる
- 選んだコマンドで攻撃でき、相手のHPが減らせる
- スキルを選ぶと、攻撃よりも大きなダメージが与えられる
これらを実装し、面白いか?を判断する。見た目はもちろん、文字と丸だけとかだが。
α版
基本の遊びだけでなく、ゲームサイクルを一通り遊べる状態をα版という。
ゲームサイクルについては企画書についての解説で触れているので、そちらをご覧いただきたい。
タイトルからインゲームへ遷移して、ゲームをプレイできる。
その他リザルト・オプション画面など、ゲームに必要な画面がおおよそ実装されている状態だ。
プロトタイプ版でゲームの面白さが担保されているため
粗削りではあるものの、見た目や操作の感触も完成を見据えたものになっている。
この時点ではバグ祭りであることが多いが、あまり問題は無い。
進行不能バグのような致命的なものでなければ…
改めてRPGで例えるなら、これくらいは遊べるはずだ。
- 街が存在し、宿屋や武器屋といったお店、NPCとの会話ができる
- バトルが発生するようなダンジョンが存在し、勝利することでキャラが成長する
- 最終的にはボスを倒すことができ、それをトリガーとしてストーリーが進む
プロトタイプ版よりかなりゲームらしくなっていることが分かる。
β版
※力尽きてしまったため、現状メモになっています。後日修正予定です。
α版で作った一連の遊びを量産するのがβ版である。
量産と聞くと分かりにくいが、
キャラクターのスキルや敵となるモンスターを増やしたり、続きとなる街やダンジョンを追加したりしていく。
α版で作ったベースからゲームを豊かにしていくのだ。
このフェーズではある程度のレベルデザインもしていくことになる。
ゲームを遊ぶのに支障をきたすバグについては、もう無くしていく必要がある。
お金が貰えない時がある、など
基本的には新規実装はNGだ。既に作ったシステムの中で遊びを広げていくだけになる。
とはいえ、どうしてもこんなスキルが欲しい!とかは出てくるので、そういった場合は実装していく。
マスター版
※力尽きてしまったため、現状メモになっています。後日修正予定です。
最終調整期間。
もうデバッグとバランス調整のみになる。
ゲームを作っていると毎回思うが、もっと色々作りこみたい!となるが
我慢だ。とにかく修正するにも、他に与える影響を考慮し、いかにバグが出ないか?を確認しつつ慎重にやっていく必要がある。
想定通りの遊びができるレベルデザインを求めて調整するのも、途中からはできない
マスター版の最後の方にはどれだけバグを無くせるか?が最重要なので、ひたすらデバッグだ。
ゲームプランナー側にもデータの入力ミスなどで修正が飛んでくるので忙しい。
晴れてリリース!と思いきや…
おめでとう。これでゲームは発売!と、笑っていられる時間は極々短い。
今のご時世、ソシャゲのような運営型タイトルでなくともアップデートの準備が必要になるのだ。
DLCやリリースに間に合わなかった機能の実装、発売直後に見つかるバグの修正…
対戦ゲームで良くあるバランス調整など。
どれだけデバッグしようと、バグは見つかるものだ。
なんせ、発売と同時に何千何万のデバッガーが稼働し始めるのだから…
自分はスマホタイトルの開発に携わったことが無いので、実体験では無いが
リリースしてからが本番という恐ろしい言葉も耳にしたことがある。
終わりに
マイルストーンとゲーム開発の流れについて、ふんわりと理解できたのではなかろうか。
いつまでにどこまで実装するか、を具体的にマイルストーンとして定義することで
どうしようもない内輪揉めなどは防げるだろう。
個人開発をする上でも、ズルズル開発を続けて完成しない…なんてことにならないよう
きちんとマイルストーンを明確にすることをオススメする。